「走馬灯だよ」と、誰かがいった
青暗い空にまっさかさま、落下していく
鳥の死がい猫の死がい
捨てられたハイカットのスニーカー
父と母のいる食卓の明かり
がらんどうの押し入れ
「走馬灯だよ」
なるほど、これが走馬灯ならば
どれもこれも私に違いない
彼がいて彼女がいてあなたがいて
しかし、これが走馬灯ならば
どれもこれも私に違いない
何が正しく何が間違っているかなどということが
はたして私にはかれただろうか
どれもこれも私に違いないのに
「走馬灯だよ」
走馬灯が過ぎ去る
鳥の死がい猫の死がい
捨てられたハイカットのスニーカー
父と母のいる食卓の明かり
がらんどうの押し入れ
私のかわいい君
かわいい君
どこにいるのか 一体
どこにいるのか
走馬灯が混濁する
どれもこれも私に違いない
私以外の何ものでもない
やがて私は口を噤むだろう
地上はすべて幻だったろうか、とにかく
真実世界はあの青暗い空にあり
私は沈黙の中にまっさかさまに
落下していく
青暗い空にまっさかさま、落下していく
鳥の死がい猫の死がい
捨てられたハイカットのスニーカー
父と母のいる食卓の明かり
がらんどうの押し入れ
「走馬灯だよ」
なるほど、これが走馬灯ならば
どれもこれも私に違いない
彼がいて彼女がいてあなたがいて
しかし、これが走馬灯ならば
どれもこれも私に違いない
何が正しく何が間違っているかなどということが
はたして私にはかれただろうか
どれもこれも私に違いないのに
「走馬灯だよ」
走馬灯が過ぎ去る
鳥の死がい猫の死がい
捨てられたハイカットのスニーカー
父と母のいる食卓の明かり
がらんどうの押し入れ
私のかわいい君
かわいい君
どこにいるのか 一体
どこにいるのか
走馬灯が混濁する
どれもこれも私に違いない
私以外の何ものでもない
やがて私は口を噤むだろう
地上はすべて幻だったろうか、とにかく
真実世界はあの青暗い空にあり
私は沈黙の中にまっさかさまに
落下していく
「もし人生やり直せるんやったらさあ
いっそはじめからやり直したいな
赤ん坊からやな
ベビーベッドにはいってさ
そのころやったらおじいちゃんもおばあちゃんも生きてたし
おとうさんもおかあさんもみんないて
黙ってきいとくわ、みんながおしゃべりしてんの
退屈かなあ そうかもしれんなあ
でもなあ、幸せやと思うねん
そりゃ幸せすぎて、泣きわめいてしまうわそんなんなあ
もしそんな風になったら
おじいちゃんにもおばあちゃんにもおとうさんにもおかあさんにも
みんなにもっとやさしくしたろうって思う
もっともっとやさしい人間になったろうって」
夏の終わりにゆるんだアイスクリームを
木べらでえぐって口に運んだ
バニラアイスの甘ったるい香りに気が遠くなる
なんや、もう
ずいぶんくたびれてもうたやないのよ
とそういって笑ったのは彼女
ぼくたちはその途端に大きくたわんで
アスファルトの地面にぼちゃり、とくだけた
いつかのおしゃべりが溶け出していく
すっかり秋めいた空
いつかの溜息も砂時計の砂のように
こぼれおちていく
逆さにすればまたはじまる? なんて
消えてしまった入道雲がいまさらもくもくわきあがる、けれど
夏は終わり
砂時計は壊れてしまった、そして
もう引き返せないところまできてやっと
ぼくたちはやさしくなれるのだ、いつだって
舌の上にはわずかに甘さが残っている
高架下の橙色の光が
やたらと目につきます
あたしの瞳にうつりこんで星になる
ねえ、きみの
バイクの後ろに乗せてよ
どこでもいいからさあ
連れてって連れてって
さみしいというのは反則ですよ
でもさあ
平べったい胸のあたりに
生ぬるい孤独をつめて
わざわざ笑ってみせる姑息
なによもう
浅ましいのよ
浅ましいの、あたし
ふふ
きみのバイクの後ろに乗って
地球の天井を見上げたら
アンドロメダ、星の名前を教えてよ
瞳の中に星を落として
冷えた背中にしがみついて
さみしいというのは反則ですか
